直近の調査によると、足元ではメデイアバイヤーの95%がサプライパス最適化(SPO)を導入している、または導入を計画しています。また、52%の広告バイヤーが、広告予算の半分以上がプログラマティック取引になっていると回答しています。
今回は、SPOとはどういったものなのか、そしてそれが広告主や代理店にどのようなインパクトを及ぼすのかを解説します。
サプライパス最適化とは
サプライパス最適化とは、バイヤーが無駄な仲介業者を排除し、サプライへのアクセスを合理化するための戦略です。広告主や代理店がサプライパスを綿密にモニターするべき理由は多数ありますが、主にあげられるのは次の3つの理由です。
- インフラコスト低減のため
- パフォーマンス向上のため
- 広告インベントリの質の透明性を維持するため
モバイルの場合、ウェブと比べてその SPO にはさらに複雑な要素が加わります。モバイル広告はたいていの場合 SDK を実装しており、SDK 接続のタイプを理解することがサプライパス最適化に重要となるためです。
SPOを取り巻く主なプレイヤーと SDK を理解する
SPO を取り巻くプレイヤーは主に、セラー、エクスチェンジ、そしてデマンドサイド・プラットフォーム(DSP)です。
まずセラー、つまりモバイルの場合アプリパブリッシャーですが、各アプリは収益最適化のために多数のデマンドソースを評価し、優先度を特定する必要があります。そのためにパブリッシャーはエクスチェンジを代表するSDKを実装します。
それぞれのエクスチェンジがアプリパブリッシャーとどのような SDK 接続を行っているかを理解することは、バイヤーとしてこれらのパートナーの優先度をどのように考えるかに大きく影響します。
SDK パートナーには主に3つのタイプがあります。
- メディエーション SDK:メインのアドサーバーであり、エンドユーザーにどの広告を配信するかを決める最終的な決定権を持つプラットフォームです。ユニファイドオークションを可能にするこうしたメディエーション SDK は、ファーストオークションとファイナルオークションにバイヤーが参加する機会を提供します。アクセスを最適化したいバイヤーにとっては、メディエーションパートナーを通じてサプライに接続することがパブリッシャーへの最も直接的かつ完全なアクセスにつながります。
- アドバンストビッダー SDK:アプリパブリッシャーに直接実装されており、メディエーションSDK によって実施されるユニファイドオークションにビッダーとして参加しているデマンドソースです。
- 従来型のネットワーク SDK:従来型のネットワーク SDK、つまりウォーターフォールベースのネットワークの場合は、優先順位またはプライスフロアでメディエーション SDK に設定されている接続パートナーです。ユニファイドオークションには参加していません。インプレッションがトッププライオリティで埋まらなかった場合、それが埋まるまで同じネットワークで2回目、3回目、4回目とオークションが行われます。こうしたネットワークだとオークションで真の価格をコミュニケーションすることはできず、結果としてウォーターフォールが膨大な数の重複したビッドリクエストを生み出すこととなります。こうしたタイプのエクスチェンジを通じてサプライを取引する DSP は、各ユニークインプレッションの機会に対し、メディエーション SDK パートナーの場合と比べて約10倍の数のビッドリクエストを示される場合があります。メディエーション SDK はファーストオークションとファイナルオークションを実施することから、こうしたネットワークで構築されたウォーターフォールのプライオリティはファーストルックやエクスクルーシブアクセスとして解釈され、価値や規模が重複したり曖昧化したりすることとなります。
メディエーション、ビッダー、従来型、いずれの SDK パートナーも、パブリッシャーに直接つながり、sellers.json やapp-ads.txtでもそのように示されます。
ただ、こうしたダイレクトSDKパートナーの背後には、直接統合されていない隠れた仲介業者が存在し、ほかのバイヤーに向けてオークションで再販を行っています。こうした再販業者は、ほかのオークションをプログラマティックチェーンに追加するエクスチェンジないしネットワークで、追加的な技術手数料が不透明なほか、そのインプレッション機会がどこから生まれているのかについても可視性がありません。バイヤーとしては、こうした再販チャネルを通じた取引を制限すれば、SPO 戦略を最適化することができます。
パート2では、SPO をより効率化する方法をご説明します。