モバイルアプリ成長

プレスリリースはあまり効果的ではない?! アメリカで
インディーゲームをローンチするための5つのPR戦略

Amy Mills
6月 1, 2018

スマートフォンの急速な普及を追い風として、2017年における世界のモバイルゲーム市場は前年比19%増の461億ドルに達しました。これはゲーム機や PC ゲームなどのゲーム市場全体の、約半分を占めています。

モバイルが最も利益を生む分野と呼ばれている中、日本のゲームデベロッパーは、世界展開を視野に入れるようになってきました。日本のモバイルゲーム市場は、世界第3位の規模ですが、今や日本国内だけでなく世界で戦いたいと強い意欲を持たれているデベロッパーが増えています。

海外展開を考える上で、多くのデベロッパーは当然世界2位であるアメリカのモバイルゲーム市場を視野に入れるでしょう(ちなみに1位は中国)。ローカライズやプロモーションはもちろん重要ですが、今回は意外と見落としがちな「PR戦略」についてお話ししたいと思います!

プレスリリースは?
そもそもメディアとはどのようにコンタクトをとればいいの?
イベント出展は効果あるの?

等々、皆様は疑問を持たれることでしょう。考える要素が多数ある上、アメリカの PR 事情は日本とかなり異なります。今回はアメリカでインディーゲームをローンチするための5つの PR 戦略を紹介いたします。予算が少なくても実行できる戦略となっておりますのでで、参考になさってください!

 

ソーシャルメディアを活用する

AppLovin mobile gaming communities blog image

ゲームローンチ前にソーシャルメディアの公式アカウントを準備し、ティザー動画(開発中のゲームのプレイ動画を小出しにしたもの)や開発のアップデートを投稿し、ユーザーの興味を引きましょう。

ローンチ後はゲーム内イベントの案内やキャンペーン告知等の積極的な情報発信を行い、ユーザーとのエンゲージメントを高めましょう。日本のゲーマーは Twitter を積極的に利用していますが、アメリカでは Facebook がより人気があるため、Facebook ページ(会社のページもしくはゲームのページ)は必ず作成しましょう!

一例として、インディーデベロッパー Fluffy Fairy Games の人気ゲーム Idle Miner Tycoon は、以下のように Facebook を活用しています。Facebook ページでゲームのアップデート情報、限定キャンペーン、ユーザーに問いかける投稿などをほぼ毎日アップしています。また、各投稿のコメント欄では、「中の人」とユーザーが実際に会話をしています。さらに、ゲームの「中の人」を紹介する動画もアップロードしています。今やこの Facebook ページは約180万人ものフォロワーを獲得しています!

またアメリカでは、YouTuber 等を活用したインフルエンサーマーケティングも効果的だと言われています。

「にゃんこ大戦争」で知られる PONOS さんによると、YouTube にアップした動画からの直接的なインストール以外の副次的なメリットとして、YouTuber 同士のバイラルプロモーションが自然に発生することもあるそうです。

 

②ホームページを英語化する

できれば会社のホームページの英語版を準備しましょう。会社情報、会社のミッション、他にリリースしているゲームなどを掲載し、どのような会社であるかを知ってもらいましょう。「ホームページを英語化?!英語苦手なので無理!」と思われるかもしれませんが、翻訳サービス Gengo 等を使えば、簡単お手軽に英語化できます。少し手間はかかりますが、英語版のサイトがあると「ちゃんとしている会社だな」とメディアから信頼されやすくなります。

事例:インディーゲームデベロッパーの Supergiant Games や、ustwo games のサイトをご覧ください。リリースしているゲームだけでなく、会社情報、チームの紹介も掲載しています。

 

一斉送信のプレスリリースの効果に期待しない

AppLovin Project Management for Marketers

日本でゲームをローンチする際には「とりあえずプレスリリースを書いて、PR Times などのサービスを使って一斉配信し、メディアに取り上げてもらう」というやり方が主流であり、それなりの効果も期待できます。しかし残念ながらアメリカでは、この方法はあまり効果的ではありません。考えられる理由は、以下の3点です。

  • 掲載のハードルの高さ:非常に話題性のあるニュースでない限り、アメリカのメディアはプレスリリースを掲載してくれません。
  • メディアの細分化:アメリカは大きな国です。メディアも細分化されていて、一斉にプレスリリースを配信しても、刺さるところと刺さらないところがあります。
  • 一斉送信メールはゴミ箱行き:アメリカのジャーナリストには毎日大量のメールがくるので、コピペされたようなメールは捨てられてしまいます。

アメリカではプレスリリースを一斉送信するよりは、各メディア・記者宛てにカスタマイズされた「ピッチ(売り込み)」が、より効果的です。この点については、下記の4つ目の戦略で詳しく説明します!

となると、プレスリリースは書かなくていいの?!と思われるかもしれませんが、 「プレスキット」用に準備はしておくべきです。

プレスキットとは記者へ渡す情報パッケージのことで、プレスリリースの他、ゲームのデモ、スクリーンショット、ティザー動画、ゲームプレイ動画などのコンテンツが含まれます。コンテンツは Google Drive や Dropbox などにアップロードし、メディアが簡単にアクセス・ダウンロードできるようにフォルダにまとめましょう。動画マーケティングの最先端を行くアメリカでは、プレスキットへの動画添付は当たり前になっているので、動画の準備は必須です!必ずゲームのコアプレイを披露しましょう。

 

時間をかけてメディアとの関係を構築する

巨大な国アメリカでは、数えきれないほどのゲームデベロッパーがいるので、メディアに新ゲームを取り上げてもらうのは容易なことではありません。そのため、メディアとの関係は大変重要で、時間をかけて信頼関係を築いていきましょう。突然記事掲載をお願いするメールを送っても、スルーされてしまう可能性が高いです。

上記で説明した「プレスキット」をメディアに送付する時は一斉送信を避け、相手方にパーソナライズしたメールを送りましょう。これを円滑に行うためには、ちょっとしたリサーチが必要です。これには Twitter が非常に有効です。ほとんどの記者は Twitter アカウントを持っているので、アプローチしたい記者のアカウントをフォローし、どのようなことに興味を持っているかを常時チェックしましょう。また、記者のツイートに返信やリツイートをしてみたり、交流を図ることによって、後ほどプレスキットを送る時に自分を覚えてもらう確率が高まります。ただし、あまりにも強引すぎる絡みは NG なので、ほどほどに!

アメリカでゲーム向けの有名メディアでは IGN, GameSpot などがありますが、インディーゲームがこれらのメディアで取り上げてもらうのは極めて難しいと思います。より掲載チャンスの高い、以下のインディーゲーム向けメディアにアプローチしてみることをお勧めします。

充分影響力のあるメディアなので、ぜひチャレンジしてみてください。すぐに掲載してもらうのは難しいかもしれませんが、長期的な関係作りを目指しましょう。

 

カンファレンスでのブース出展は必ずしも必要ではない

GDC などのゲームカンファレンスは、あなたの会社のゲームを PR する絶好のチャンスです。記者にアプローチするためには、カンファレンスの数ヶ月前から連絡を開始し、頑張ってアポを取ってみましょう。GDC のような大型カンファレンスは、大量のデベロッパーが訪れるので、一ヶ月前から連絡をとっても遅いぐらいです。

アメリカのカンファレンスは、出展費用の他、航空券、滞在費用などを含めるとかなり高額になってしまう可能性があります。そのため、ROI を考えるとブースは必ずしも必要ではありません。

実はブースの代わりにかなりのインディーデベロッパーは、会場付近のホテルの一室を借ります。そこに記者を招待し、軽食・飲物を用意し、実際にゲームをプレイしてもらいます。日本ではあまり聞かない PR法 ですが、アメリカでは一般的だそうです。ただし、ホテルもすぐ埋まってしまうので、予約はお早めに!

GDC はゲームデベロッパーのための世界最大規模のカンファレンスです。他にも

などのカンファレンスがお勧めです。

 

皆さま如何でしたでしょうか?こちらで紹介しました PR 戦略はシンプルですので、ぜひ参考になさってください!

今回はアメリカにおける PR 戦略についてお話しましたが、国によって効果的な方法が全く違う場合があリます。そのため、ゲームを世界展開する際には、必ず各国の PR 事情についてリサーチしましょう。

最後に、当然のことですが、全世界に共通する効果的な PR は、「何を伝えたいのか」を明確にすることです。メディアにアプローチする時、ソーシャルアカウントを運営する時、資料を作成する時にも、キーメッセージを軸に展開することが重要です。「どうしてこのゲームは面白いの?」をきちんと説明できるよう、PR を考えましょう。

AppLovin は皆様が直面する疑問や悩みをサポートしていきたいと考えております。どうかお気軽にご連絡くださいますよう、お願いします!

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