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2018年、成長を続けるスマホアプリ業界で起きている変化とは

Yuki Manno
2月 19, 2018
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ここ数年、スマートフォン売上の伸びの鈍化に伴う、スマホアプリデベロッパーへの影響を不安視する声が上がっています。ですが2017年のデータによると、スマホの売上やアプリのインストール件数は、2018年に向けても増加傾向にあることが見て取れます。まだまだ、スマホアプリ業界には成長の余地が十分に残っているのです。

消費者がクリスマス当日だけで2億ドル近くのお金をアプリに落としているというアメリカにおける統計は、心強いデータの1つです。(アメリカでは、11月末のブラックフライデーからクリスマスのホリデーシーズンに、年間のリテールセールスのうち30%近くが集中するといわれています。)

Sensor Tower によると、クリスマスにユーザーがアプリに使った金額は、全世界で前年同日比 12.3%増加しています。中でも非ゲームアプリの売上高が最も伸びており、エンタメ系のアプリは前年比でほぼ倍増しています。さらに、スマホアプリの新たな収益化のトレンドとして、月間や年間など、利用期間に対して支払いをする形式の”サブスクリプションモデル”も躍進しています。音楽や動画などのエンタメ分野の盛り上がりを踏まえれば、不思議な流れではありません。

また、グローバルの重要性も増しています。App Annie は、2018年に消費者がアプリストアで費やす金額は、1,100億ドル超(前年比30%増加)になるものと予測しています。また、中国、インド、ブラジルが大きな市場として大きな注目を集めるでしょう。特に中国は、アプリストアでの消費の牽引役として、大きな可能性を秘めています。また、ベトナムも注目の市場です。「ベトナムの、特にスマホゲーム分野では、低コストのメディア戦略によって90日間で高いリターンが得られる」とAppsFlyerは指摘しています。

 

2018年のスマホゲーム

スマホゲーム業界の場合、たとえ端末の販売台数の成長が鈍化したとしても、さらに成長する余地があります。

2017年、日本および韓国、台湾のアジア地域では、広告媒体を通して獲得したユーザー数が前年比37%伸びました。これは、グローバルの平均を61%上回る数字であり、日本やアジア地域のスマホゲーム市場への投資が増加していることを意味します。

また、 AppsFlyer のレポートによると、オーガニックユーザーは、ノンオーガニックユーザーに比べて60%継続率が高いと指摘しています。ただ、当然ながら、競争の激しいアプリストアで、オーガニックユーザーを獲得するのは簡単ではありません。

さらに、そのようなユーザーにアプリを見つけてもらうことが 難しい中で、Apple は App Store でのアプリ検索の問題に取り組み、iOS 11 向け App Store の設計を見直しました。その結果、AppStore での検索はエディトリアル素材や UX への依存度が高くなり、アプリを見つけてもらうのがますます困難になってしまいました。

 

質重視のマーケティングへの転換

スマホアプリに利用されるマーケティング予算は、前年比28%で増加しています。これはユーザー獲得のコストが増えたということですが、すなわち業界が成熟してきており、量よりも質に重点を置き始めているという背景もあるでしょう。さらに直近の傾向として、莫大なマーケティング予算が使える大手デベロッパーが、よりダウンロード数・売り上げ上位を独占し始めている状況です。

一方、マーケターの収益化の方法は変化してきています。ユーザー1人あたりの平均売上(ARPU: Average Revenue Per User)は前年比40%で増加しており、マーケターはより収益化の見込める、質の高いユーザーに的を絞るように予算配分をし始めています。

Appsflyer によると、2017年にはユーザー継続率が15%上昇しました。この大きな伸びの理由の1つは、スマホアプリでのリターゲティングがより活発化してきたこと、ディベロッパー各社がリターゲティングへの予算配分をより増やしたことがあると想定できます。

日本のアプリユーザーのリテンション率(継続率)は世界平均と比較して約60%高くなっています。モバイル先進国である日本では、ユーザーの継続率を高めるためのプッシュ通知やリターゲティング施策の効果的な活用、また特にゲームアプリでは、ゲーム内イベントを定期的、継続的に実施していることが大きな要因だと思われます。

データを見てみると、アプリマーケターは2017年に、より最適な形で、広告費を活用できるようになったと言えるでしょう。分析し、ターゲットを絞り、テストし、そして成長させるのに使えるデータは日に日に増えています。

2018年もデベロッパーは新たな試練に直面するかもしれません。しかし、このアプリマーケットには計り知れないポテンシャルがあることもまた事実です。

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