モバイルアプリ成長

ユーザーエンゲージメントを向上させる8つのコツ

Tomoya Katagi
11月 26, 2021

ユーザーを獲得すること、そしてそのユーザーを維持することには、それぞれ異なる取り組みが求められます。モバイルデバイスでユーザーが一日あたりに費やす時間は4.2時間となっています。デベロッパーとしては、ユーザーに自らのアプリにその時間の一部を費やしてもらい、2020年に1,430億ドルもの消費支出を記録したアプリ経済のシェアの一部を獲得したいものです。一方で、56%ものアプリがダウンロードされたその週にアンインストールされており、自社のアプリがその一部となることは阻止したいものです。

あらゆるアプリにとって、ユーザーエンゲージメントは極めて重要な成功のカギのひとつです。そしてそのカギは偶然に得られるものではありません。しっかりとしたユーザーエンゲージメント戦略が必要です。今回は、ユーザーエンゲージメント向上のための実践的なヒントを8つご紹介します。

ポイント1:アプリが問題解決につながるようにする。例えば、「30分以内にピザを食べたい場合はどうすればよいのか?」、「退職金積み立てプランを始めるにはどうしたらいいのか?」、「カフェでラテが出てくるまでの5分間をどう過ごすか?」など、どのような問題であれ、アプリが何らかの目的にとって役立つものでなければなりません。そうした目的や問題解決により役立つものであれば、あるいは特に同じカテゴリのほかのアプリよりもそうした点で優れていれば、ユーザーがそのアプリを開く可能性が高まります。

ポイント2:オンボーディングを魅力的な体験にする。これは当たり前のことのように思えますが、意外と難しく、想像以上に重要なことです。特に自社アプリが昔からあるカテゴリに属している場合は、考慮すべきことが多くあります。ユーザーはすでに同様のアプリの標準的な機能の多くを知っている可能性があり、そういった場合にすでに知っていることを長々と説明してユーザーの時間を無駄にしないように注意しなければなりません。チュートリアルをスキップするオプションを用意するとよいでしょう。

一方で今までにないような新しい体験をユーザーに提供する場合には、しっかりしたチュートリアルが必要になりますが、すべての機能を一気に紹介してユーザーを圧倒してしまわないよう注意する必要があります。この場合のコツとしては、ユーザーが新しい機能にアクセスしたときの状況に沿ってチュートリアルを提供するとよいかもしれません。あるいは、ユーザーがしばらく踏みとどまっているようなとき、つまり迷ったり困ったりしているかもしれないときに、新たな機能に関するチュートリアルを挿入するのもよいでしょう。

オンボーディング体験の絶妙なバランスを見極めることがカギとなります(そのためには、A/Bテストを実施する必要があるでしょう)。


ポイント3:プッシュ通知は有効な方法だが、パーソナライズして関連性のあるものにすべき。プッシュ通知はユーザーとつながり続ける上で有効な方法ですが、配信許可を求めるタイミングには注意が必要です。陥りがちなミスが、ユーザーがアプリをインストールしてからすぐにメッセージ送信の許可を求めることです。ユーザーがアプリの価値を理解して楽しみ始める前の時点でこのプロンプトを目にする場合、オプトインの可能性は低くなります。「リマインダー」や「通知」が役立つような場面にアプリ内でユーザーが直面したときにプッシュ通知を促すというのが、よりよい戦略でしょう。例えば、ショッピングアプリの場合、お気に入りの商品がセールになった際に通知を希望するかどうかをユーザーにたずねるのは、カートに商品が追加されてからにします。ゲームアプリならば、特典がある場合や友達がオンラインになったときなどが通知が欲しいタイミングでしょう。

ポイント4:プッシュ通知以外にも、複数のチャネルでユーザーに訴求しエンゲージする。Eメールは、すでにアプリに興味を持っているユーザーへの直接的かつ低コストのアプローチ法であることから、ベストな選択肢と言えます。デジタル広告よりもはるかに低コストなため、費用対効果の高いアプローチ法でもあります。ソーシャルメディアでのメッセージ発信も効果的です。

ポイント5:アプリのコンテンツをできる限りパーソナライズする。Spotify や YouTube のようなアプリは、視聴履歴に基づいてユーザーが好みそうなコンテンツを表示する方法が奏功しています。ゲームの世界はやや複雑になりますが、ユーザーが惹かれているチャレンジやキャラクターがあるなどすれば、そういった行動に基づいてコンテンツをパーソナライズできます。アプリ内課金を前提とするゲームの場合は、ゲーム内でのユーザーの状況や、過去の行動(過去に、課金するなど苦労を惜しまずユーザーが集めたリワードのタイプなど)に基づいて、オファーするものをパーソナライズするのは非常に理にかなっていると言えます。キーポイントは、人口動態や個人情報ではなく、ユーザーがアプリ内で示した興味に基づくパーソナライズが効果的であるという点です。

ポイント6:LiveOps を導入して話題性を高め、ユーザーのリピートを促す。ゲームアプリの場合、LiveOps はエンゲージメントを高めるための強力な手段です。スペシャル・イベントの開催などによってユーザーをゲームに引き戻すような盛り上がりを演出し、エンゲージメントと収益それぞれを押し上げることができます。例えば、WordScapes では、人気ゲームにトーナメントを追加することにより、LTV が40%増加しました。

このほか、シーズンに合わせたアップデートもエンゲージメント向上につながります。多くのゲームが、季節的な天候(冬の間は背景を雪景色にするなど)やイベントに合わせてコンテンツを調整したり、アプリストアで表示するアイコンを変えたりすることで、エンゲージメント向上を図っています。

ポイント7:コミュニティを形成する機能や比較ツールを使う。交流を求めるユーザーにその機会を提供しましょう!リーダーボード、ゲーム内チャット、ユーザーレビューなど、コミュニティでの交流は、ユーザーのコンテンツへのより深いエンゲージメントにつながります。

ポイント8:インセンティブやリワードを提供する。特典付与はゲームアプリ以外でも有効です。例えば、現在ではさまざまなチェーンレストランなどが、ユーザーが無料でコーヒーやフライドポテトなどをもらえるアプリを提供しています。ショッピングアプリのなかには、商品購入のほか、有益な商品レビューの投稿でポイントを付与しているものがあります。こうしたポイントは通常、次回の購入時に使用できます。ゲームの場合は、追加のライフやアプリ内課金に交換できるポイント付与などが、エンゲージメント向上に非常に効果的です。ほかにも、毎日のログインやタイマー式のポイント付与なども効果的な施策です。


ユーザーエンゲージメントのプランニングは全体的な戦略の重要な部分の1つで、アプリの長期的な成功に不可欠です。プラン策定の際には、理想的なユーザーで想定する行動を念頭に置きます。ログインの頻度やアプリでの滞在時間などを想定し、こうしたユーザー行動の想定に基づいてエンゲージメントのプランを策定すれば、アプリを長期的な成功に導くロードマップが構築できるはずです。

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