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ゲーム消費支出は35%増、App Annie最新レポート

Rina Takagi
11月 4, 2021

2021年もコロナ禍で多くの時間を自宅で過ごすこととなりましたが、ゲームの世界では消費者の間でコンソールからモバイルへのシフトが一段と進みました。こうした勢いのなか、モバイルゲームにおける消費支出は2021年末までに1,200億ドルを突破する見通しです。AppAnnie が公開した2021年モバイルゲーム市場最新レポート 2021 Mobile Gaming Tear Down では、このほかにも多くの興味深い分析が得られました。今回はその注目の内容をいくつかご紹介します。

  • 2021年7-9月期、1週間あたりの消費者のモバイルゲームへの支出は新型コロナのパンデミック前に比べて35%増加しました
  • ゲームの週間ダウンロード数は2019年比で25%増。ダウンロード数は2020年3月に10億回を突破し、その後も落ち込みはみられていません
  • Google PlayとiOSのアプリストアでの1週間あたりの消費支出は17億ドル超となり、2019年比40%増加しました
  • ユーザーがAndroidでゲームに費やす時間は1週間あたり全体で50億時間超で、過去2年間で35%増となりました
  • 2021年上半期、月額100万ドル以上の消費を生み出したゲームは810本に達しました。こうした記録を達成したゲームは2019年のわずか650本から25%増加しました

グローバル的成長

モバイルゲームはグローバル規模で普及が進んでいますが、過去1年にかけては特にインドのダウンロード数の伸びが顕著でした。2021年上半期のインドのダウンロード数は、米国の倍となる合計約50億件でした。App Annie によると、ブラジル、インドネシア、ロシアでも、「国内外のモバイルゲームのパブリッシャーや投資家にとって絶好の機会が生まれている」模様です。これらの地域では今後数年中に飛躍的な成長が見込まれます。

モバイルゲーム消費支出については、引き続き APAC(アジア太平洋地域)が世界で45%の比率を占めています。ただ、こうした同地域の伸びは落ち着きつつあり、米国やドイツ、英国といった地域が勢いを増しています。


ダウンロード数の3分の1をハイパーカジュアルゲームが占める

2021年上半期、ハイパーカジュアルゲームのダウンロード数は68億件と、驚異的な伸びを記録しました。2019年から倍増、2018年比では5倍以上となっています。ハイパーカジュアルゲームのサブジャンルのなかでも特に急成長したのは、パズル、アクション、シミュレーション、キッズといった分野でした。

ハイパーカジュアルゲームのトップのパブリッシャーは2021年上期に複数のタイトルをリリースし、その半数はダウンロード数500万件以上を記録しました。同期間に Lion Studios がリリースした「Happy Glass」は、わずか62日間で1億ダウンロードを達成しました。


マルチプラットフォームが注目のトレンド

世界でユーザーがモバイルゲームに費やす時間の半分近くは、シューティング、アクション、RPG、戦略系などのコアゲームにおけるものでした。特にバトルロワイヤルゲームは、世界のゲーム消費時間の25%を占めました。

マネタイズでは RPG が高い結果を記録しました。こうした RPG では、広告、リワード動画、ガチャなどさまざまな収益化戦略が奏功したようです。

一方でこのジャンルで大きな話題となっているのは、マルチプラットフォームでの体験の普及です。iOS と Android のすべてのカテゴリーで最もダウンロードされたアプリ「Genshin Impact」などのようなゲームは、モバイルでは無料提供の一方、クロスプレイ対応を生かして瞬く間にスケールし、成功を収めました。プレイヤーは単一のゲームセッション内であってもモバイルからコンソールに移行することができるほか、異なるデバイスを使っているゲーマーとも対戦することができます。

これについて App Annie は、ゲーム業界全体にとっての成功だとし、「コンソールとモバイルの体験が融合しつつあります。モバイルデバイスでも、コンソールのようなグラフィックとゲームプレイ体験ができるようになっています。また、クロスプラットフォームでの対戦ゲームやソーシャルゲームの体験ができるようになっています」と指摘しています。こうした流れを背景にあらゆるデバイスでのエンゲージメントが高まり、足元でモバイルがその恩恵を受けるような状況になっています。

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