AppLovin は先日、1億ダウンロードを突破したヒット作『Ink Inc.』で知られる SRG Studios の CEO である Michael Hoyos 氏を迎え、Lion Studios の Director of Publishing である Matt Murphy との対談を行いました。ヒットゲームのパブリッシングとマーケティングのエキスパートである両氏の対談では、ゲームの市場性をテストするうえでの実践的なアドバイスを得ることができました。
スピーディーに動くハイパーカジュアルゲーム業界を生き抜き、ゲームを成功させるには、時間が重要な要素になります。
対談では次のような点が語られました。
ミッドコアゲームからハイパーカジュアルゲームへと転身した Michael Hoyos 氏は、「ハイパーカジュアルゲームについて気に入っているのは、シンプルな仕組みを組み合わせて新たな体験を生み出す創造性と再発明性です。業界内でアイデアが尽きたと感じ始めると、誰かが変革をもたらしてくれるのです」と語りました。
パブリッシング、広告、マーケティングで10年以上の経験を持つ Matt は、Lion Studios の Director of Publishing として、ゲームのプロトタイプを1~2週間中に行うべきと語りました。
「ユニークなアイデアがあるのならば特に、一歩踏み出してユーザーの反応を確かめることが重要です。できるだけ早くテストすべきです。ユーザーの反応が悪ければ、また次のアイデアへと進めばよいのです。」
これに対して Michael 氏は自身が3秒ルールを基本にしていると語りました。「人が注目する時間は短いものです。最初の数秒を大切にしなければなりません。意味が不明だったり、価値が生まれそうになければ、ボツにします。潜在プレイヤーが3秒以内にクリエイティブを理解できず、反応しないようならば、そうしたプレイヤーの心は離れてしまっているはずです。」
Michael 氏はミッドコアのジャンルからハイパーカジュアルにシフトした際にすぐに違いを感じたと語り、「多くのことを一旦忘れる必要がありました。ミッドコアゲームのときは、ユーザーを長く維持すること、アプリ内課金、ゲームのコアのループことを考えていました。ハイパーカジュアルゲームではまったく異なり、セッション毎の広告、低コストでのユーザー獲得、そしてスケーラビリティがポイントでした」と言います。
また、自分のアイデアやコンセプトに執着しすぎると素早く動くことができなくなると言い、「自分のコンセプトを愛しすぎるのは禁物です」と続けました。
Michael 氏率いる SRG のチームは「ハイブリッドカジュアル」という自らにとって新たなジャンルに進出するため、パブリッシャーと組むこと決めました。
Lion Studios は次のようなサポートをSRGに提供しました。
Michael 氏は次のように述べました。「Lion Studios はハイパーカジュアルゲームについて教えてくれました。クールなアイデアは素晴らしいけれども、市場に広がらず、注目される魅力がなければ、意味がないと学びました。」
Lions Studios はほかにも数々のデベロッパーをサポートしており、プレイヤーに響くものが何なのか、そしてそれはなぜなのかを理解しています。スケーラビリティのテストでは、SRG が自社で行うよりもずっと深い知見を提供することができました。
「Lion Studios のサポートはとても心強いものです。ハイパーカジュアル領域でのヒットを実現してくれます。」と、Michael 氏は語りました。
①対象を幅広く
デベロッパーの観点からは、幅広い層でヒットを実現することが最重要で、広い層のオーディンスの注目を集められないゲームに時間を費やすのは不毛です。
Matt は、「ゲームの本質的なコンセプトを見極めます。コンセプトがあまりにニッチで一部のユーザーにしか訴求しないものや親近感が湧かないものであれば、人々に理解されなかったり、難しすぎるという印象を持たれたりしてしまいます」と述べました。
②「母親テスト」
Michael 氏は母親のすすめでゲーム会社を設立したと明かし、プロトタイプのテストでは「母親テスト」をするのが良いと語りました。
「『このゲームやってみて!』とプロトタイプを母親に見せます。ほんとうに目の前でゲームをプレイする母親を観察するんです」と、笑いました。
これによって、母親がすぐにゲームの仕組みとプレイ方法をできるかどうかを見極めるとのことです。
③気持ちに訴える
面白いものや魅力的なもので、人は感情を動かされます。ユーザーを幸せにしているのか、楽しませているのか、または興奮させているのか?シンプルなゲームプレイに感情の要素は必ずしも必要ではないかもしれませんが、興味を引き、エンゲージメントを生む一助にはなります。
Matt は例を挙げました。「ゲームがうまくいかず苛立っている人の動画を見れば、そのゲームを自分がプレイしてなんとかしたくなるものです。あるいは、ゲームをプレイして、次々とレベルをクリアしている人を見れば、『楽しそう!私もやりたい!』と感じるものではないでしょうか。」
Michael 氏は、スケーラビリティテストのプロセスは科学実験のようだと言います。テスト初期は、プレイヤーの興味を理解することが最重要です。エンゲージメントが確認できればそのアイディアを採用して前に進め、そうでなければボツにします。
大まかに3つのプロセスをMichael 氏が説明しました。
デベロッパーは、ゲームに多くのものを詰め込みすぎていることに気づけないことがあります。Michael 氏は、クールな要素でユーザーをあっと言わせることも必要な一方、スケーラビリティテストに取り組む際には余計なものになる場合もあると指摘しました。
こういった現象を回避するために、SRG ではオフィスにある大画面でアプリランキング上位20位までに入っているハイパーカジュアルゲームをチームでプレイしています。
「ランキングトップのゲームを見て、市場でヒットしているポイントを見極めるのが目的です。これらのゲームなぜ人気なのか、という点を考えます」とMichael 氏は説明しました。
対談では、データのテストや分析にあたっていくつかのシナリオが紹介されました。
スケーラビリティとエンゲージメントが良い:
スケールはするが、エンゲージメントが悪い:
スケールしないが、エンゲージメントが良い:
スケーラビリティとエンゲージメントが悪い:
対談の最後にMichael 氏は次のように述べました。「ハイブリッドカジュアルでは、典型的なカジュアルゲームに比べてさらにプレイヤーを夢中にさせることが重要です。そういったタイプのゲームではリテンションを一層重視する必要がありますが、過剰に重視しすぎるのも禁物です。」
Matt は、ユーザーが自社ゲームをプレイする理由を理解するのが重要だと言い、「クリエイティブがオーディエンスに沿ったものとなるよう徹底することが大切です」と締めくくりました。
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