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App Annieの2019年レポートから見るモバイルゲーム 5つのトレンド

Nori Hayashi
2月 21, 2019
App Annie mobile game trends 2019

米アプリ調査会社 App Annie は、毎年恒例のレポート「モバイル市場年鑑 2019」を発表しました。このレポートではモバイルのすべてが網羅されており、モバイルのエコシステムの動向をマクロな視点で確認することができます。今回は、このレポートから見て取れる、デベロッパーが2019年に注目すべきモバイルゲームの5大トレンドを考えます。

 

モバイルゲームの勢いは止まらない

まずは、「モバイルゲームの勢いは止まらない」という点が、デベロッパーにとっては最大のポイントでしょう。スマートフォンの販売低迷が報じられ、Apple が数十年ぶりに収益見通しの下方修正を余儀なくされるなどしていますが、モバイルゲームは依然として勢いを増し続けています。

このレポートによると、モバイルゲームは 2018 年だけでアプリストアの個人消費全体の 74% を占めており、ゲーム市場で最も速いスピードで成長しています。ゲーム市場においては、モバイルが PC とコンソールを超え、昨年には 703 億ドルの売上を記録しました。(Newzoo 調べ)これは世界のゲーム市場の 51% に相当します。App Annie の予想では、モバイルゲームは成長を続け、2019 年末までには個人のゲーム消費の 60% を占めるまでになるとされています。

一方で、モバイルゲームのデベロッパーは、モバイルゲーム業界の内外の競争激化に直面するでしょう。ポケモン GO やキャンディークラッシュ、クラッシュ・オブ・クランなど、圧倒的に固定ユーザーを保持しているゲームが、いまだに iOS の売上ランキング上位を占めています。また、モバイルゲームのデベロッパーは、ストリーミング動画サービスとの競争も強いられることになりでしょう。動画視聴時間が増えれば、モバイルゲームをする時間が減り、リテンションに影響してきます。

 

ミッドコア領域は縮小

モバイルゲームの成長をけん引しているのは、ハイパーカジュアルとハードコアです。ハイパーカジュアルの場合、口コミにより広がり、ストアのランキングをあっという間に駆け上るようなゲームが生まれやすい傾向があります。一方ハードコアでは、2018 年はフォートナイトや PUBG、荒野行動などのバトルロイヤルが好調でした。ミッドコアゲームは 2019 年も苦戦を強いられることになるでしょう。

2018 年、Voodoo は Paper.io 2 や Grass Cut、Helix Jump などハイパーカジュアルのタイトルでヒットを飛ばしました。Lion Studiosも、Love Balls や Happy Glass といったタイトルで成功しています。2018年の世界のモバイルゲームダウンロード数で Love Balls は6位、Happy Glass は8位でした。

 

中国デベロッパーは世界を標的に

2018年に注目されたニュースのうちの1つは、中国のゲーム規制です。中国政府は、暴力やゲーム中毒への対策、そして反体制的な理念醸成を抑えるため、ゲーム業界の規制に乗り出しています。これによるゲーム業界への打撃は明らかで、App Annie は中国におけるゲームの個人消費の伸びは前年比4%の鈍いペースになると推計しています。グローバルでの伸びは前年比 13% と推計されており、中国市場は大きく差をつけられています。

規制は2018年12月に緩和されましたが、国内で規制の壁に直面した中国のデベロッパー達は、世界進出へと照準を合わせ始めています。2019年は、中国のデベロッパーの海外における事業拡大が増えるでしょう。つまり、中国のデベロッパーは、より世界的にアピールできるゲームを開発しなければならなくなり、ミッドコアやハードコアのゲームのデベロッパーはクオリティの高いローカライズへの投資が必要になることが予想されます。

世界市場では、カジュアルゲームに勢いがあります。直感的でストーリーがないハイパーカジュアルゲームは、特にローカライズを必要としません。中国ではこのジャンルはまだ他国ほど盛り上がっておらず、大きな成長の可能性があります。国家による承認プロセスで時間がかかるとの懸念がありますが、徐々にプロセスはスピードアップしているようです

中国のデベロッパーが海外に目を向けている一方、中国国内のモバイル市場の規模も無視できません。中国でのモバイルゲームへの個人消費は他国と比較してもトップを独走しており、デベロッパーは2019年も、中国市場への取り組みを続けることになるでしょう。

 

ASO (アプリストア最適化)

アプリのオーガニックなダウンロード数増加を図るうえで、アプリストアへの最適化は引き続き重要な要素です。App Annieによると、ASO 施策において、アプリの名称変更が減った一方、アイコンのアップデートが増加する等、わずかなトレンドの変化があったようです。(アイコン変更は2018年に30%増加、2017年は24%増) ASO で最も重要なのはアプリの紹介文の変更で、キーワードを追加したり、スクリーンショットや動画などのビジュアル追加することなどです。2018年は、iOSアプリ全体の 46%が、アプリの紹介文変更を行いました。

モバイルゲームにおいては、映画の予告編のような動画ではなく、瞬間的にゲームのコアの部分を見せるのがベストです。モバイルゲームデベロッパーは広告クリエイティブの範囲で何ができるのかを考え、アプリストアの紹介文に落とし込む必要があります。ユーザーの注意を引く時間はほんの数秒しかありません。

季節イベントやスポーツイベントなど、話題のイベントに便乗してストアの紹介文やアイコンを変更するのもいいでしょう。また、季節感のあるコンテンツを提供すると、リテンションや収益性が向上する傾向があります。クリスマスやお正月など、季節性のイベント時には、多くのお金が動くためです。

 

有料チャネルでのユーザー獲得がさらに加速

ゲーム市場が飽和してきているなか、有料チャネルでの広告展開がますます重要になってきています。Android でも iOS でも、広告を通じてのダウンロードが急激に伸びを見せています。

App Annie によれば、ゲームの分野では特に、Google Play に比べて iOS の方が、有料チャネルでの UA(user acquisition: ユーザー獲得)施策によるランキング上位のアプリのダウンロード数が 20% 多くなっています。これは意外な結果ではありません。iOS のユーザーは、常に課金ユーザーに変わる可能性を、より高く秘めています。これをふまえて、デベロッパー達はUAのための予算を確保し、それぞれの広告キャンペーンの成果を評価するKPIを設定します。

有料チャネルでの UA の重要性は、世界的に広くゲームデベロッパーの間で意識されてきているようです。Lion Studios の担当者は当時、1LINEでUSチャートの1位を獲得した MagicAnt とのセッションで「海外と日本の最大の違いは、海外ではオンライン広告への依存度がほぼ 100% だということ」と語っています。

また、この流れは、ゲームアプリがアドネットワークの活用をさらに増やしていることからも伺えます。App Annie によると、平均して、ゲームアプリにおいて iOS では45%、Google Play では 35%、それぞれ利用するアドネットワーク数が増加しています。広告主はより多くのアドネットワークを活用することで、それだけ多くの広告を配信することができ、また多数のユーザーでテストを行い、広告費の最適化を図ることができます。

App Annieのモバイル市場年鑑2019はこちらからご覧いただけます。

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